>「ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと約束の手紙」(青木裕子、集英社コバルト文庫)
ようやく前巻で両想いになった二人ですが、それでめでたし、めでたし、と終わるわけではなく、ここからが楽しくもあり、難しくもあり。
ひとつ次の段階に入ったクリスとシャーロックが描かれています。
恋人同士になって、デートをするようになったら、それはそれで今までにない問題がいろいろと出てくるものですね。
そのあたり、あとがきで(当たり前ながら)実に的確に説明があるので、正直レビュアー泣かせな気がします(^^;;
まあ、あんまり構えずに思ったことをつらつらと書いていくことにしましょう。

今回まずインパクトがあったのは、やはりミセス・コルベールの正体、それから彼女とリンダ・パレスとの関わり方です。
ある程度は想像ついていた部分もありますけど、まさかア○○○とも繋がっていたとは…!
まだ彼女たち二人の本心が見えてきてはいないのですが、だんだんと核心が見えつつありますね。
また、彼女たちの情報に関しては読者は第三者視点で見られるので最大限情報を得ているのに対し、たとえばシャーロックからだとまだコルベールが誰なのか確信がもてなかったり、という違いが当然あって面白いところです。

恋人たちは試行錯誤中、かな?(笑)
身分の差もあって、なかなかデートするのにも一苦労していて、少しでも一緒にいたいのに・・・っと悶々としているところが二人ともなかなかかわいいです。
特にシャーロック(ぉ
タイトルにもあるように、約束を取り付けるのは主に手紙で、このあたりは風情があっていいですね。
またしてもあとがきで

「乙女の恋には順序というものがあるのです。」

って!
お見事すぎます。
いやいや、神様(作者様)には勝てません(笑)。

手紙だけではなく、作中クライマックスでは電話でのやりとりもあったりして、ちょっと意外な感じがしました。
この時代にもう開通してましたっけ?
…ん、既に実用化はしていそうですね(→参考:電話wikipedia
最新の技術を早速使いたがるのはシャーロックらしいところ。

「聖者は薔薇にささやいて」につながる、パメラとイアン、それからアントニーの関係についてのエピソードもあります。
特にイアン先生、かっこよすぎます。
ここまでまっすぐに想えるのはほんと良い人としか言いようがない。
そんなわけでこの巻ではかなりイアン先生、リードかと思いきや、前述の「聖者は~」ではイーブンぐらいな感じでした。

「そばにいて欲しい、と思ったときにそばにいたのはイアンではなく、アントニーだった。」


ここが鍵かな。
単にイアン先生が間が悪いのかも(いやいや
あと一言だけ言っていない秘密をいつか、パメラが打ち明けられる日が来るように願っています。
間違いなく、イアンならば今回と同じように何の問題もなく受け入れることでしょう。

クリスに関しては、一人で出かけたりして成長が見られる反面、パメラが危惧しているように危うい面が見えてきてもいます。
なんというか、他人に関しては客観的に見ることができて洞察力もあるんですが、自分のこと、自分の感情に関してはまだ持て余しているというか、どこまでも突っ走っていきそうな恐い感じがふとのぞくところが不安ではあります。
恋人であり、支えあう存在のシャーロックも冷静であるようでいて(あるように努力はしている)、けっこうもろいところがあるんですよね~。
しっかりとこの恋を育てていって欲しいものです。

ゲストのシリルはどうにかこうにか、立ち直った様子がエピローグで描かれています。
ただまあ、今回、クリスとミセス・コルベール(そしてギルレイ)のことがメインになっているため、最後の方は蚊帳の外だったのがちょっと不憫かな。
元々、ミセス・コルベールは利用するつもりであったのは確かなのだけど。

この巻に限りませんが、恋ドレもシリーズが長くなってきて、それ故に登場人物、人間たちのありようがしっかりと地に足が着いています。
たとえば、ゲストキャラで登場したエドもわずかではあっても成長してきているんだな、というところが見えたり。
(それでも、まだまだ子供、ということをシャーロックに教えられたりしています(^^;;<あれはあれで正しくはあるのだけど、相変わらずシャーロックはエドに対しては妙に大人気ない感じがあって苦笑いでした)
個々が成長しつつ、いろんな距離感で関係を結んでいるこの世界が、なんだか心地いいな、とそんなことを思いました。
たぶん、恋のドレスだけでどんなことでもできるわけではなく。
その作り手であるクリスもドレスを作ることなら唯一無二だけれど、一人で何もかもできるわけではないです。
(むしろ生活者としてはパメラの方が優秀(笑))
こう、簡単に言えば周りの人間あってのクリスであって、恋のドレスなんだろう、と。
一番は今のところシャーロックでしょう。
ただ、彼だけでもクリスという人間は成り立たない。
クリスはそういうことをはっきりとは自覚してはいないだろうけど、感覚として捉えてはいるんじゃないかな、とは思います。
あ~、ですから、たぶん、二人して先の見えない選択をとってしまうようなことはないだろうと、そう信じたい。

長くなってきたのでこの辺で。
次もできるだけ早く読めるといいんですけど(^^;;
管理人のみが読めるようにする

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